I Bet My Life

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「ロブスター(2016/ヨルゴス・ランティモス)」面白いけどもう少し血生臭いリアルも欲しい

ロブスター(字幕版)

原題:The Lobster

製作国:ギリシャ・フランス・アイルランド・オランダ・イギリス

 

Netflixにて鑑賞。
ヨルゴス・ランティモス×コリン・ファレルのコンビはこの後「聖なる鹿殺し」に続く。
 
寝転がりながらスマホで見ていたのだが(僕のネトフリ鑑賞スタイルは大体がこれ)、何度も何度も寝落ちしてしまった。
それでも最後まで見る事が出来たのはやはり設定の妙。とにかく奇妙で不思議な世界観。
SF的な設定を画面では表現せずに会話や場所の設定で表現するのは先日見た「太陽(2016/入江悠)」を思い出した。
こういう作品は、うまくいけば観客の想像力を掻き立て映画の外側の世界を想像させたり残虐性を浮かび上がらせたりできるはずだが二作品ともあと少しそこには辿り着けていないような気がした。僕の想像力が足りていないからかもしれないが。
特に中盤以降、レジスタンスの人々がお金を稼いだり食糧を調達したり下水とかそういうライフラインの問題がどうなっているのかがわからず、どうもリアリティを感じにくくなってしまった。
前半も前半でこのホテルだけで世界の秩序を守ってるのかとか、それともこういったホテルが世界中に大量に存在するのかとかそういう事も気になる。
設定がSFなので、ほんの少しの描写でいいのでその辺りのリアリティを感じさせてくれる描写が欲しかった。
 
また、ホテルで女を麻酔銃で打って動物にする部屋に入れるくだり(そもそも部屋に入れるだけで動物に変身するのかとかその辺りもフンワリしている)とか、リーダーが犬に食われる所とか、もう少し詳細に描写してくれた方が映画的なカタルシスは生まれただろうし、あまりにも画面が無機質なのでこの辺りで血なまぐささを感じさせて欲しかった。
邦画でリメイクなんかしたら結構面白くなるのでは?吉田恵輔監督とか、白石和彌監督とかで…
 
と言いつつ多分監督はそんなことには一切興味も描くつもりもないのはわかっている。
僕の好みの問題なのだ…
 
ラストに関しての解釈はこのブロガーさんが非常にわかりやすく記事にまとめてくださっている。
映画技法的に言っても恐らくこの解釈が正解な気がする。
 
映画「ロブスター」についての感想(主に結末について)|ささやか(シャルル) @sasayaka49|note(ノート)
https://note.mu/sasayaka49/n/n009c4d84d039
 
僕もやはり主人公の幼稚さが全編に渡って気になっていたので、逃げたと解釈している。
 
見ている間はリアリティがどうのとかもっと血を見せろよとか文句を言いつつも、見終わって数時間経つ未だにこの映画の事を悶々と考え続けているのでやはりこの映画は良い映画なんだろう。
この監督の他の作品も見てみたい。